ガラスを冷ますこと・主に急冷のお話

ここのところ、端材で10cmの円形を作り続けています。わたし個人の感覚なのですが、端材を利用して作品を作る場合は新しい板で作品を作る場合に比べて、きめ細やかな温度管理が必要な気がします。


1. トップ温度での焼成時間

ひとつはトップ温度での焼成です。これは以前にも書きましたが、端材をフルフューズしてしっかりと溶かすには、トップ温度で1時間は焼成しつづける必要があると思われます。ブルズアイでは、1-2時間とビデオで説明しています。(ここのページの下の方にちらりと書いてあります)


2.急冷

トップ温度から徐冷キープ温度までの急冷のこと。ブルズアイのHPではRapid Cool と言っています。「急冷」というと、急いで冷まさなくては、と思いがちですが、ブルズアイのHPには、このような説明が載っています。

わたしのてきとー翻訳です。(いつもの通りですが、翻訳のお持ち帰りはお断りしています)

5. 急冷: 482℃までの温度管理

ガラスが(理想の)形になったら、アニールソーク温度までできるだけ早く冷ます必要があります。それは失透を防ぐため、また、冷ます時間を不必要に長くしないためです。

しかしながらブルズアイではこの温度帯で電気炉を大きく開けることはお勧めしません。(炉の扉を)開けて通気孔を作ることは、ガラス本体の中に温度差を生じさせ、(もう少し)低い(徐冷)温度帯での(ガラス本体の)温度を一定にするために、さらなる時間を要してしまうからです。

通気孔を確保するために炉(の扉)を開けるのではなくて、電気炉が482℃まで冷めるよう(電気炉の壁の断熱材や電気炉に入っている焼成中のガラスの量によりそれぞれ異なる)、自然に任せることをお勧めします。


ブルズアイ社のHPのビデオでも急冷について、「炉の扉は開けないように」と説明しています。ただ残念ながら会員専用ページですので、ここでの紹介は控えたいと思います。


今回、急冷のことについて考えるために、まずは自分の炉(七宝焼き用のSF2)での急冷速度を測ってみました。(もちろん、中に入れているガラス物体によって、左右されると思いますが。)

結果、840℃から徐冷温度までは35分くらい、720℃から徐冷温度までは20分でした。


では、ちゃんとしたガラスフュージング用の電気炉ではどれくらいなのでしょうか。ここでまた、師匠に問い合わせてみました。お返事がとてもわかりやすいので、ちょこっと編集の上、転記させてもらいますね。

「急冷に関しまして。ブルズアイならトップから482℃まで1時間くらいまででしょうか。20分や35分ならじゅうぶん、急冷も急冷です。今、結構電気炉の蓋を開けて急冷なんてお話を聞くのですが、自分自身はまずやらないです。蓋をあけないと失透するというのはあまり信用しない方が・・・。極端な話、700℃前後とかで1時間とか2時間とか極端に引っ張ったりしなければ失透は滅多にしないでしょう。皆さんが「失透した」と言っているのはガラスが結晶化うんぬんより汚れとかが原因の方が圧倒的に多くてフュージング用ガラスの結晶化での失透というのは滅多に見ないです。」

さすが師匠、とてもわかりやすい説明を本当にありがとうございます!


師匠の言葉と、自分の経験から学んでこれから実践したいこと2つ。

・作品を作る前に、ガラスを綺麗に拭くこと

・「急冷」時間帯も、決して炉の扉は開けないこと。自分の七宝焼き用の電気炉は、そうでなくても「急冷も急冷」で、とても早く冷めてしまうので。



3.徐冷時間

もうひとつは、徐冷時間。ここで書いたように、それまではアニールソーク(徐冷キープ)2時間のもので2回、焼成失敗したものが、4時間かけて徐冷した場合、割れずに焼成できました。そして、焼成後7日経っていますが、今のところ、まだ割れ目は見当たりません。でも割れはいつ起こるかどうか、わかりません。数か月はこのままの状態(直径10cmのいびつな円形)をキープしてきちんとウオッチしてみたいと思っています。

徐冷時間については、ここの6番と7番で、拙いですが書いていますので、お時間のある方はぜひ、ご存知とは思いますが目を通してみてくださいね。(↑の急冷のところで参考にしたブルズアイの温度管理教科書の、その続きの部分です)

個人的な思いですが、初心者にとってはこの部分が、ガラス焼成で成功するかしないのかの分かれ道になることが多いと思われますので。(私自身がそうでした)


お話ばかりだとつまらないので、やはりここでは大好きなミルフィオリを載せて。フルフューズした時に炉の空いたスペースで焼成した五百円玉相当のまるまるちゃんの写真です。この大きさ、何にしたらいいのでしょうか。ヘアゴムかプチペンダント?ちょこっと平凡かな~~何かいいアイディア、浮かばないかな~~~

Glass Kindred Spirits

ガラスフュージングと七宝焼きアクセサリーを作っている Mari です。 Welcome! I'm Mari, making glass fusing fusing & SHIPPO (enameling) accessories.